2005年 03月 07日
Excite エキサイト : 芸能ニュース 西武にしろフジサンケイグループにしろ、公開企業を商店経営的に私物化して取り合う展開に、まことに安っぽい劇画的な印象を感じます。 「公開企業」は、顧客満足のための「志」と、実現するための「具体的な手段」をもった経営者が、経営者の志と手段に賛同してくれる出資者を「株式市場」というフェアな場で広く世界中に募り、事業の成功と経済的な還元(配当と株価の向上)をもって出資者(株主)に報いるもので、出資者には投資判断が出来るだけの十分な情報公開をすることが前提条件と理解しています。 ところが、いま問題になっている株主達は、先代から受け継いだ株の既得権にしがみついて、公開企業の社会的信用と資金調達の自由度だけを享受しながら不都合な情報は隠し、そして企業を私物化しようとしているわけです。こういう人たちの争いほど醜いものはありません。 歴史的には、戦前から「株式会社」の建前を踏みにじる、ヤクザな乗っ取り屋とか総会屋に引っかき回された経緯から企業防衛本能が働いた結果、事業のシナジー効果が期待できるうえ、お互いに信用できる経営者達が企業グループを形成して株の持ち合いを始めたのだろうと想像しています。 しかし、これは「優秀な経営者を輩出あるいは選出する風土と仕組みがあるうえ、高いモラルと生産性を維持できる社員の集まった会社」であることが前提で、明治世代の志が高く見識のあるカリスマ創業者だからこそ出来たことです。右肩上がりの泰平な時代に代が変わって平和ボケして行けば、自ずと形骸化して腐敗化するものです。 しかも、今や皮肉なことに「優秀な経営者の正しいビジョンのもとで、高いモラルと生産性を持つ社員の集まった会社」ほど、早々に株の持ち合いを解消して自立した透明性の高い経営を志向しているわけです。当事者能力もなく、集団護送船団に安住し既得権にしがみつきながら経営者が「自分の代さえオイシイ思いをして逃げ切れれば良い」と考える、レベルの低い会社ほど、過去のしがらみを断ち切れず、未だに株の持ち合いに頼っているはずです。 旧態依然とした連中の痴話喧嘩を面白おかしく報道したり、低レベルな乗っ取り屋的発想で外資の参入を懸念する報道を見かけると、甚だしい時代錯誤に胸クソの悪い思いがします。 いずれにせよ、「建前通りになれる」公開企業だけが生き残って、それを自分自身で出来ない公開企業は上場を廃止するか、建前通りに再建してくれる能力のある株主に経営を委ねるしかないと思いますし、西武やフジサンケイグループの騒動は、象徴的な出来事に過ぎないと思っています。これからも旧い連中が多少は騒ぐでしょうけど、淡々と世の中の動きに寄り切られて行くはずです。前近代的経営者たちの断末魔の叫び程度に聞き流すのが一番でしょう。 鹿内家が待った!大和証券に8%返還要求 [ 03月07日 10時29分 ] 日刊スポーツ フジテレビが実施しているニッポン放送株公開買い付け(TOB)応募締め切り前日の6日、フジサンケイグループ創業者一族の鹿内宏明(59)夫妻が大和証券SMBCに対し同放送株8%を返還するよう求めていることが分かった。鹿内家は昨年、大和に売却したが「大和の対応は違法」と主張、法的措置も検討している。フジはTOBで目標の25%超の取得が確実とされるが、影響を受ける可能性が浮上した。一方のライブドアも同放送株取得をめぐり違法性が複数指摘され争奪戦の行方は混迷の度を増した。 92年、フジテレビ日枝久会長らのクーデターでグループから追放された鹿内家が、グループ存亡のときに現経営陣に対し痛烈な一撃を放った。ニッポン放送株を8%保有する大株主だった鹿内宏明氏と妻厚子氏は昨年5月、所有権や配当などの利益を譲る「信託受益権」という手法で、大和証券SMBCに同株を売却した。大和はフジがTOBの実施を公表する前の1月4日、この受益権を株式に転換。同月17日、フジが大和を代理人としたTOBを公表した。 宏明氏らは、これら大和の対応について「TOBを検討している事実などを知りながら、大和側から説明がなかったのは問題」と主張。法令違反があったとして6日までに契約解除=返還を要求。法的措置も検討している。これに対し、大和は「違法性や法令違反はない」。フジも「予定通りTOBで株式を取得する」と1歩も譲らぬ構えだ。 骨肉の争いが再燃した形だ。フジサンケイグループは54年のニッポン放送開局時に、日経連専務理事だった故鹿内信隆氏が専務として入社して以来、長く鹿内家が支配してきた。88年に2代目の長男春雄氏が急死。89年にグループ議長になったのが、日本興業銀行にいた信隆氏の娘婿の宏明氏だった。 だが経営手腕などにグループ内の不満が高まり、宏明氏は92年、議長を事実上解任された。現在はロンドンに在住。鹿内家はその後も同放送の筆頭株主だったが96年に同放送が上場したため保有比率が低下した。上場は日枝氏らが鹿内家の影響力を排除する作戦だったとされる。この上場が今、ライブドアに株を買い占めされる事態に結びついている。 フジは今日7日のTOB応募締め切りを前に目標の25%超取得を確実にしていた。しかし鹿内家の8%を入手できなければ一転、窮地に陥る。前代未聞のメディア戦争は意外な人物の登場で混迷が深まった。
by azatsu0422
| 2005-03-07 12:01
| 経済
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